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2007年1月16日 (火)

Daily K-Scale 0441

よみたいときに よめば よゐ

寛容性と溶解。

 『ローマ人の物語』を完結させた塩野七生さんが「文芸春秋」で興味深いお話をされていたので紹介したいと思います。それは、同時代に権勢をふるった帝国であるローマと秦との比較です。どちらも長大な国境線を持ち、同じ水準の技術力を誇っていました。

 秦の始皇帝は、万里の長城を築いて蛮族との間に壁を設け、「閉鎖された帝国」を築きました。つまり「分別」をもって国を維持していこうとしたのです。一方、ローマはどうしたのか。それは「すべての道はローマに通ず」という諺が著すように、道路網をはり巡らせたのです。つまり、「開かれた帝国」を築き上げたのでした。

 このコンセプトがあったからこそ、ローマはあれほどまでの広大な帝国を維持することができたのです。それは、敵対した異民族にさえも「ローマ市民権」を与えたという史実にも表われています。だからこそ、ガリア(今のフランス)やヒスパニア(スペイン)、ブリタニア(イギリス)の人たちも自分たちを「ローマ人」として誇りに思っていたと伝えられているのです。

 この寛容性がローマの特長である、と塩野さんは語っています。その根本にあったのが、ギリシアから連綿と継承されてきた「人間中心主義」にあったと。それが、キリスト教という「神の支配に服する人間集団が増加していくこと」で内側から変質し溶解していったのがローマの歴史であると語られています。

 よく似たことが、1500年の歳月を隔てた日本でも起こりつつあるのではないでしょうか。日本は「八百万の神々の国」でした。その点では、オリンポスの神々に守られたローマとよく似ています。つまりは「寛容」がポイントだったのです。「寛容」は「溶解」を導き、「共存共生」を育てます。そうして日本は発展してきました。それが今、「利益」をご神体とする一神教が蔓延し、「寛容」を疎外しています。「勝ち組」だけしか認めない社会が生まれようとしているのです。一神教に支配されたローマは衰退の一途を辿りました。日本がそういう轍を踏まないように、私たちは「多様性」を常に意識して「開かれた国」をつくっていきたいものですね。

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コメント

こんばんは。
はじめまして、お邪魔します。
塩野さんのその語り調は、「ローマ人の物語」でも頻出してますので、よくわかります。それを現代日本に置き換えるとは、先人に学ぶ姿勢に感服しました。仰るように、多様性は重要ですね。しかし、村社会である日本の文化は、村八分の例を引くまでもなく、許容範囲を超える多様性には厳しい側面もあります。境界をどの辺りに設けるか、それがミソになるのかもしれません。
しかし、ローマと中国を対比させるなら、中国側は秦というより漢だと思うんですけどねぇ。。

投稿: chappy | 2007年1月17日 (水) 01時00分

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